例えばアメリカのマフィア映画には、必然的にイタリア系の人々が
多く登場する。
作品の質はまさにピンからキリまであり、必ずしもマフィア映画の
全てがイタリア系アメリカ人への偏見を強化しているとは言えない。
中国朝鮮族のタクシー運転手が主人公になった「황해(黄海)」
(2010年)という映画を見終わった後、ふと、「ヲタク」が
考えたことだ。
主人公より前に子どもと夫のために韓国に出稼ぎに出た主人公の
妻は、夢破れ、故郷に戻ろうとするが、それを許さない朝鮮族の
男のゆがんだ欲望により命を落とす。
一方、朝鮮族の裏社会のボスから請負殺人の話を持ちかけられ、
大連から漁船に乗り韓国に密航した主人公は、予想外の展開に
追い詰められ、約束の金を手にすることもできないまま満身創痍の
傷を負う。
それでも、モンスターのような暴力と生命力で数々の危機を脱し、
探し出した妻(遺骨)とともに故郷を目指し、漁夫を脅し黄海へと
漁船を走らせる。
しかし、主人公は、ついに漁船で息絶えてしまう。
年老いた漁夫が、主人公の死体と妻の遺骨の入った箱を、ゴミの
ように黄海に捨てるシーンで映画は終わる。
何とも切なく、そして、虚無的な映画であった。
この映画は、韓国ノワールの傑作として日本でも「哀しき獣」なる
邦題で公開された(2012年)。
例によって、「ヲタク」はこの映画を中国のサイトを通じて観た。
(終わり)
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韓映画の黄海と哀しき獣
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