■식객 「食客」 2007年 〇〇〇〇-
(325)
2008年、295万を超える観客を動員したヒット作(年間7位)。
陰謀により有名料理店から追放された一人の若い料理人が、韓国一の
料理人として再起を果たすまでの物語。
期待以上に面白い映画であった。
△ユッケジャン(映画より)
特に、この映画で重要な役割を果たす日本人が、主人公の作った韓国の
牛肉スープ「ユッケジャン」について語る部分は、なかなか興味深かった。
△日本人・藤原の発言にはハングル字幕と通訳付き(映画より)
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「今、やっとわかりました。純宗王(朝鮮王朝最後の王)が、なぜ、
涙を流されたかも・・・。
この牛肉のスープには朝鮮の全てが入っています。
一生、黙々と畑を耕す牛は朝鮮の民であり、唐辛子油には辛く強い
朝鮮人の気概が、どのような病虫害にも耐える里芋の茎には、外国の
勢力の試練にも屈してはならない理由が、ワラビには野草のように
広がる生命力が込められています。
待令熟手(朝鮮王朝の調理師長)が王に献上したのは、単なる牛肉の
スープではありませんでした。
国を失い心を痛める王に、待令熟手は、永遠に絶えることのない
朝鮮の魂をお伝えしたのです。(※上記画像部分)
純宗王は、待令熟手のその心を読み取ったのです。だから、涙を
流されたのです。」
(藤原のセリフより)
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この映画は、日本人、藤原の口を借りて、主人公のユッケジャンを
「朝鮮の魂」がこもった料理と持ち上げている。
これだけ長い日本語(実際はもっと長い)が、韓国映画の中で流れる
場面も珍しいので、活字にして記録してみた。
個人的な思い出で言えば、ユッケジャン(辛味抑え気味)、あるいは
ソコギクッ(牛肉スープ)は、プサンに暮らす義理の母親(慶尚北道
生まれ)が元気なころ、娘婿の「ヲタク」をもてなしてくれる定番の
料理だった。
早くに夫を亡くした義理の母は、プサンの草梁洞で長らく食堂を
切り盛りしながら「ヲタク」の妻らを育ててこられたので、引退後も、
料理の腕は、まさにプロ級だった。
そういう意味で、「ヲタク」にとってのユッケジャンは、義理の
母親の真心を受け取る料理であった、と言える。
(終わり)
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韓国映画と牛肉スープ
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