■보헤미안 랩소디 「ボヘミアン・ラプソディ」 2018年 〇〇〇--
韓国では2018年の10月末に公開され、現在(19年1月18日)も
ロングランが続いている映画「ボヘミアン・ラプソディ」を、やっと
ネット上で見ることができた。
イギリスのロックバンド、クイーンのボーカルだったフレディ・
マーキュリーの半生を描いた映画。
ロック好き(なんちゃってレベル)の中高年「ヲタク」が、楽しみにして
いた作品だ。
△空港の作業現場で「PAKI」と呼ばれていたフレディ(映画より)
「ヲタク」の印象で言えば、この映画では、彼の民族的背景(インドの
マイノリティーであるパールシー出身)やセクシャリティー(バイセクシャル)の
問題、身体的欠点(出っ歯)、さらにはメンバーとの確執などが、
比較的、丁寧に描かれていた。
△地元のライブハウスでもフレディを「パキ」とやじる声(映画より)
しかし、当然のことながら、彼の魅力の核心が、そういう問題に
あったわけではない。
イギリスや祖国はもちろん、ある面、男女で構成される家族や人類
からも疎外され続けた男だったからこそ、彼の発する魂の叫びが、
人間存在の本質を突く歌となり、世界の人々を魅了し、勇気付ける
ことができたのではないだろうか。
例えば「ヲタク」は、クイーンの代表曲である「We Are The Champions」の
「We」とは、フレディ個人を始め、疎外され、自信を失った人々を
含む、「全ての人々」と解釈している。
この曲が世に出たころは、自己陶酔の匂いが鼻について好きになれ
なかった「ヲタク」だが、今では、この曲を、フレディが、くじけそうに
なる自分自身や「My Friends(人類)」を鼓舞するために歌った
曲だと確信している。
どんな状況にあろうが、自分を含め、全人類の一人一人が、みな
世界チャンピョンなのだ、と。
ここで、フレディの残した言葉を一つ、紹介しておく。
“俺はアリーナの最後列の人たち、入場できなかった人たち、シャイな
人たちのために常に歌って繋がっているんだ。批評家や虐めっ子たちを
飛び越えられることを見せるんだ。俺にそれが出来れば、誰にだって
やりたいことは出来るはず。” by フレディ・マーキュリー
(NHK クローズアップ現代「クイーンは世代を超える!そのワケは?2018/12/6」)
そういう思い入れを持つ「ヲタク」からすれば、この映画は、往年の
クイーン人気を上手に刺激し、話題を振りまき、大ヒットはしたかも
しれないが、彼の魅力の核心を伝えることには失敗している。
いずれにしろ、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、大いに韓国社会を
揺さぶったことは事実である。
△海外作品歴代興行成績(韓国映画振興員会)
公開以来、観客動員は900万を突破し、社会現象とも呼べる大ヒット
(海外作品歴代6位)を記録した。
ちなみに観客動員が600万を突破した日本(人口は韓国のおよそ
2・5倍)と比較しても、その人気ぶりは際立っている。
(終わり)
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韓国社会のQueen旋風
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