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韓国青年の苦境と映画

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성혜의 나라  「ソンヘの国」 〇〇〇--
(984)



2020年1月に公開されたインディーズ系の社会派
ドラマ。現代の映画としては、久しぶりに見た
白黒映画だ。

主人公は、ソウルで1人暮らしをしている
アラサー女性のソンヘ。

彼女は大学卒業後、就職した会社でセクハラを
受け、それを告発したことで会社に居づらく
なって退職した。


△新聞を配達する主人公(映画より)

その後4年間、新聞配達とコンビニ店員をかけもちし、
さらには公務員試験予備校で勉強しながら、再就職を
めざし努力してきたが、いまだに定職につけない。


△コンビニで働く主人公(映画より)

1次試験には合格するものの、2次試験の面接で
ことごとく失敗してしまう。どうやら、前の会社の
退職理由を率直に語っていることが不利に働いて
いるようだ。

そんな彼女に対し、借家の大家からは保証金を
上げる、との連絡が入る。それは、値上がり分の
保証金を追加で支払うか、入居時に支払った保証金を
受け取り退室するかの二者択一を迫る通告を意味
していた。

最近、故郷の両親に金銭を援助したばかりの彼女に
経済的な余裕はなく、結局、彼女は引っ越し先を
探し始める。

ところが、そんなどん詰まりの彼女の生活を
一変させる悲劇が起きる。

故郷の両親が交通事故で亡くなってしまうのだ。

彼女は、執行猶予を得たいばかりに和解を望む
裕福な加害者側から、示談金として約5千万円
(5億ウォン)を受け取る。

結局、彼女はそのお金を元に、決して高価では
ないが気に入った新しい借家で、「40年間
毎月約15万受け取り」(金融機関との契約)の
「引退生活」に入ることをきめた。

彼女は、皮肉にも、両親の事故死という悲劇的な
代償を支払うことで、やっと人間らしい平穏な
生活を手に入れることができたのだ。


△彼女の新しい借家は坂の街にある(映画より)

将来も見通せないまま、アルバイトに追われ、
住宅費に苦しむ生活から解放された彼女からは、
悪化しつつあった神経症(パニック障害)の病状も
きれいに消え去った。


△彼女が暮らすことになったソウルの坂の街(映画より)

今後は、新しく入った借家で新しく購入した
ペット犬といっしょに、心穏やかに暮らしていく
ことになる。

何とも複雑な余韻を残して終わる映画であった。


(終わり)


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