11月15日付ハンギョレ新聞の時事漫画。
例によって、以下は、この時事漫画を理解するための解説である。
「キム・ジヨン」と言えば、おそらく、どの韓国人も1人や2人
くらいは知人や親せきに同姓同名の女性がいそうなくらい平凡な
名前である。また、実際、同姓同名の人の数も、女性を中心に
数万人は下らないのではないかと思われる。
今、韓国では、名前の通り、実に平凡などこにでもいそうな
30代の主婦「キム・ジヨン」を主人公にした小説がベストセラーに
なっている。
題名は「82년생 김지영(82年生まれのキム・ジヨン)」。
「女だから」という理由で引き受けなければならない様々な
社会的不条理-現実-と何とか折り合いをつけながら人並みの
幸せをつかんだかにみえたジヨンだったが、夫方の親戚の集まりの
場での出来事をきっかけに、突然、彼女に実家の母や夫の結婚前の
恋人が憑依(ひょうい)するようになった。
そして、ジヨンに憑依した人物たちが、日ごろのジヨンからは
考えられない奔放な自己主張を始める、というドラマ風の展開だ。
恐れをなした夫は、彼女を精神科に連れて行くことになる。
そして、精神科の医師の視線を通して、「ジェンダー」(社会的、
文化的に形成された性別)の壁でできた迷路のような現実を
生きてきた彼女の人生がひも解かれていくことになる。
(以上はいくつかの書評記事より)
「ヲタク」も読んでみたくなるような、最近話題の本である。
一方、実社会では、ある大手病院が行う毎年の院内イベントで、
女性看護師らに「特技自慢」と称してセクシーなダンスを強要して
いたパワハラ(セクハラ)問題が明るみに出て社会問題化している。
実際の関連映像を見た「ヲタク」の印象では、年によっては
下着姿と見紛うほど露出度の高い格好で踊らされていた看護師らの
姿が確認できた。
鋭い風刺精神には感銘を受けた時事漫画ではあるが、作中の女性らの
ような露出の少ない描き方では、「特技自慢」問題の持つえげつない
犯罪性が読者には伝わらないのではないか?
余計なお世話とは知りつつも、たまには韓国紙の時事漫画に注文を
つけたくなる「ヲタク」である。
(終わり)
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韓国時事漫画批判
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