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韓国映画と華僑の双子

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■고양이를 부탁해  「子猫をお願い」 2001年  〇〇〇〇-
(281)



20歳前後のイ・ヨウォンが出演した映画。例によって、イ・ヨウォン
目当てで見た映画である。


△華僑姉妹の家に集まった仲良しの5人グループ

インチョン(仁川)の高校を出て2年目の、どこにでもいそうな若い
女性5人グループの生活や交流の日々を描いている。


△初々(ういうい)しいイ・ヨウォン

この中で、イ・ヨウォンは、唯一、親のコネでソウルの証券会社に
就職し、インチョンを離れた女性として登場する。

狭いアパートでの1人暮らしとは言え、ソウルでのOL暮らしは、言って
みれば「勝ち組」である。

しかし、いざ、職場での高卒OLの仕事と言えば、雑用ばかりで、日に
よっては支店長から10回以上もコーヒー入れを要求されるなど、決して
充実した生活を送っているわけではない。


△若き日のイ・ヨウォン(映画より)

他の登場人物は、実家の麦飯石(ばくはんせき)サウナ店を切り盛り
しているが、家族からは「遊んでいる」としか思われていない女性。

また、高架道路下の貧民街に年老いた祖父母といっしょに暮らす、
定職のない女性。好きなデザインで気を紛らせているが、家政婦の
仕事を始めた矢先、崩壊した家の下敷きになり祖父母が事故死して
しまう。肉親と住まいを一挙に失ってしまった彼女は、窮地に陥る。


△華僑の双子姉妹(映画より)

そして、韓国社会の中でマイノリティとして生きる華僑の双子姉妹。
中華街の片すみで、手作りのアクセサリーを売る商売を始めている。

無職の女性が拾ってから、OL、無職の女性、サウナ店の女性へと
たらい回しになっていた子猫を、最終的に引き取ることになったのが、
この双子の姉妹であった。

OLはソウル暮らしを続け、華僑姉妹は子猫といっしょにインチョンでの
暮らしを続けていく。

サウナ店の女性は2年分の労働の対価として家からまとまったお金を
こっそり持ち出し家出する。そして、家を失った女性をさそい飛行機で
どこかに旅立って行く(劇中の会話からワーキングホリデイビザで
オーストラリアに行った可能性が濃い)。

こうして、5人それぞれの不安定で不確かな明日を漠然と予感させ
ながら、映画は終わる。結末らしい結末もなければ、明確な明日も
ない。

感動とまでは行かないが、深い印象を残して終わる映画であった。

興行的には失敗に終わった映画だが、韓国社会を生きる女性の現実を
女性の視点から描いた作品として、映画祭などでは一定の評価を得た。

ちなみに、この映画で、イ・ヨウォンは青龍映画賞と百想芸術大賞で
新人女優賞を、サウナ店の女性を演じたペ・ドゥナは百想芸術大賞で
最優秀女優賞を受賞している。




(終わり)



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