■박열 「朴烈 植民地からのアナキスト」 2017年 〇〇---
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2017年、230万を超える観客を動員したヒット作(年間17位)。
主人公は、朝鮮が日本統治下にあった大正時代、日本で大逆罪に
問われたアナキスト(無政府主義者)の朴烈と、その同志であり
妻の金子文子。
植民地支配や資本家による搾取、さらには天皇制からの解放を
目指した彼らが主人公なので、ある程度は仕方ないにしろ、
それにしても、まるで文章を読んでいるような観念的なセリフの
非常に多い映画であった。
また、悪役にしろ良心的人物にしろ、型にはまったような人物
ばかりが登場し、物語の展開に奥行きが感じられなかった点は、
残念である。
さらに言えば、慶尚北道出身の朴烈が、まるで現代ドラマに登場する
ソウルの若者のような標準韓国語で話していたことにも、ちょっとした
違和感を感じてしまった。
ちなみに、この映画で金子文子を演じたチェ・ヒソ(최희서)は、
各種映画賞で新人女優賞を受賞するなど大きな注目を集めた。
「ヲタク」が驚いたのは、彼女の日本語はもちろん、日本語なまりの
韓国語までが、極めて自然だったことだ。
△流暢な日本語で天皇制を批判する場面(映画より)
それもそのはず。
彼女は幼少期から小学校の時期を日本の大阪で過ごし、小学校は
大阪の韓国人学校に通った経験を持つ。その後、中学校から高校
までの時期をアメリカで過ごし、韓国への帰国後、延世大学に入学、
アメリカの大学への留学経験もある才媛だ。
言葉に特別な関心があるようで、韓国語に加え、日本語と英語を
ネイティブ並みに話し、さらにイタリア語や中国語まで話せると
いう。
「ヲタク」自身、女優としての彼女に特に強い印象は感じなかったが、
彼女の経歴や語学の能力については、嫉妬交じりの強い関心を引かれて
しまった。
今後とも、関心を持ち続けたい女優の一人である。
(終わり)
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