■완벽한 타인 「(直)完璧な他人」 2018年10月 〇〇〇--
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現在、一部でまだ上映が続いている2018年10月公開の大ヒット作。
観客動員数は、現時点で520万を超えている(韓国映画年間5位)。
現在はソウルに暮らす江原道出身の幼なじみの男4人と、その妻3人が、
1組の夫婦の新居に集い、夕食を囲んで談笑する。
そして、その場のノリで、大人同士のおかしなゲームが始まる。
△それぞれに夫婦、幼なじみに知られたくない秘密を持つ参加者(映画より)
その場にいるみなが夫婦や幼なじみに隠している秘密がないことを
証明するため、みながスマホをテーブルの上に置き、かかって来る
電話は全てスピーカー通話で公開し、SNSのメッセージも全てその場で
公開しようというのだ。
いざ、ゲームが始まると、次々に入ってくる電話やメッセージにより、
それぞれが隠していた、大小、様々な秘密や背信が露見してしまい、
場は修羅場と化していく。
最終的に、1組の夫婦関係は完全に破たんし、その場に同席していた
1組の不倫カップルの関係は最後を迎える。
何とも趣味の悪い大人向けのブラックコメディだった。
ただし、最後の最後のどんでん返しで、そのゲームが、本当は
最初から成立していなかった「架空の話」だったという、わけの
わからないオチが待っている。
楽しく旧交を温め、夫婦仲良く帰途に就く幼なじみたちを見ながら、
どんでん返しに混乱させられ、映画に騙されたことに気づく観客は、
一気に精神的緊張が解け、脱力する。
そして、回避された破滅に救われたような気になる反面、数々の重要な
真実の隠ぺいにもどかしさを感じさせられもする。
ハラハラドキドキしながら時間をつぶすには、持ってこいの娯楽映画
なのかもしれないが、最初から観客をだます目的で作られたような
映画は、「ヲタク」の趣向には合わなかった。
△主人公らの故郷は江原道束草(コネスト韓国地図より)
ところで、この映画の冒頭部分に出てきた主人公たちの子ども時代の
シーンに限っていえば、非常に興味深かった。
映画の中で彼らが話していた江原道方言は、「ヲタク」の印象で
いえば、ほとんど北朝鮮(あるいは中国朝鮮族)のアクセントだった。
南北に長い江原道(韓国側)の中でも、特に北朝鮮に隣接した
北東部で、北朝鮮側のアクセントとほぼ同じ方言が使用されている、
というのは事実のようだ。
38度線で分断され久しいとはいえ、本来の江原道の地理や歴史を
考えれば、当然といえば当然の現象だろう。
(終わり)
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韓国内の北朝鮮風方言
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