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韓国映画と長男殺し

해피뻐스데이 「ハッピー・バス・デイ」 2017年 〇〇〇〇〇
(717)

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2017年に公開されたインディーズ映画。

この映画に登場する家族には、近所の人もその存在を知らない、
重度障害を持つ長男がいて、3階の部屋で寝たきりの生活を
送っている。

その長男の30数回目の誕生日に家族全員が集合し、みなで長男を
毒殺し、人知れず死体をワンボックスの小型バスに乗せ遺棄する、
という露悪的な展開の物語だ。

介護に疲れ果てた母親が言い出した計画に、家族の全員が同意した
上での企(くわだ)てだった。

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△「ノブナガ」の草履を懐で温めた「ヒデヨシ」のように母親に尽くせと力説する母の弟(映画より)

最初は、刺激の強いアングラ演劇でも見せられているようで、
拒否感に近い嫌悪感を抱いた「ヲタク」だったが、一癖も二癖もある
登場人物らが繰り広げる人間的な世界に、徐々に引き込まれていった。

それは、「ヲタク」が、この家族の長男殺しの犯行に、共犯者として
画面越しに参加していく過程だったとも言える。

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△長男に毒薬入りの料理を食べさせた後、長男の死を待つ家族ら(映画より)

「だから福祉制度が必要なのだ」という言い訳めいた結論などでは、
とても整理がつきそうにない、この心のザワツキ。

元来、人間とは、非人間的な闇の部分も含めて人間なのだろう。

自分が信じている理性や良心といったものの根っこを、今一度、
本気で見つめ直して見たくなった映画である。


(終わり)


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