韓映画と光州のキム君

■김군  「キム君」　2019年　〇〇〇－－
（７５０）



2019年5月に公開されたドキュメンタリー映画。

1980年5月に起きた光州事件について、韓国社会の一角には、
いまだに光州事件を北朝鮮の特殊部隊が市民を煽動し引きおこした
暴動だった、と主張し、韓国軍による武力鎮圧を正当化し続けて
いる人々が存在する。

そうした人々が、北朝鮮軍介入の証拠として、真っ先にあげるのが、
下記の1枚の写真だ。

ここに写っている青年が、北朝鮮の兵士だと言うのである。


△光州事件当時、武装した市民（映画より）

このドキュメンタリー映画は、歴史ねつ造（北朝鮮介入説）の
誤りや犯罪性を明らかにするため、この写真に写った光州市民を
探し求めた調査活動の記録である。

結果的に、「キム君」とおぼしき人物の写真（上記写真）を撮った
カメラマンや「キム君」周辺の関係者による生々しい証言の数々は、
光州事件の真の闇を照らし出していく。

つまり、光州事件の被害の実相はいまだに完全には明らかになって
おらず、遺体が埋められた場所が不明であったり、行方不明の
まま家族の元に帰っていない人々も存在している。

写真の「キム君」もその1人だった（可能性が高い）のだ。

光州事件はまだ終わっていない。

そのことを実感させられるドキュメンタリーだった。


（終わり）