■다영씨 「タヨンさん」 2018年 〇〇〇--
(820)
2018年に公開されたインディーズ系のラブコメディ。珍しく、
白黒の無声映画だ。聞こえてくる音はBGMのピアノと、ごく
一部の効果音のみ。
主人公は、宅配バイク便のしがない配達夫の男。その彼が、
ある小さな会社の事務員の女性、タヨンに恋をする。
そして、その女性が、コネ入社した、いかにも仕事ができない
社長の娘にうとまれ、職員全員からいびられ孤立している
ことを見て取った男は、彼女を助けるために大奮闘する。
職場の問題が解決できたわけではないが、男の純情が彼女に
伝わったところで映画が終わる。
予想以上に面白い映画だった。
ところで、この映画は無声映画だったので、ごく一部の文字を
除き、韓国語を知らなくても、見れば全てが理解できる、
いわば、言葉の壁のない映画だった。
しかし、「ヲタク」の目で見れば、かすかに文化的な壁は
あったように感じた。
△社員らから暴行された後、バナナ牛乳を飲む男(映画より)
例えば、主人公の男女が、追い詰められた場面で飲んでいた
「バナナ牛乳」。
△いずらくなった会社の休憩時間、一人でバナナ牛乳を飲む女(映画より)
韓国人のソウルドリンクとも言える、非常に甘い飲み物だ。
バナナ牛乳の甘さを味覚で知っている人は、男女の置かれた
苦しくもやるせない状況を甘ったるい味覚の記憶の中で、余計に
苦々(にがにが)しく、つらく感じたことだろう。
(終わり)
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韓国映画とバナナ牛乳
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