■눈꺼풀 「まぶた」 2018年 〇〇〇--
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2018年に公開されたインディーズ系の映画。
舞台は、死者があの世に行く前に、最後に立ち寄ると
言われている弥勒島(全羅南道)。
△島に流れ着いたキャリーバッグ<映画より>
その島で祭祀(法事)用の餅を作っている老人の
元を、どこからともなく2人の高校生と1人の
女教師が訪れてくる。
老人の壊れかけのラジオは、フェリー(セウォル号)の
沈没事故を伝えていた。
島の海岸で石を積み始めた高校生たちは、老人の
作る餅を食べてから、遠くに旅立つのだと言う。
△老人は島で祭祀(法事)用の餅を作っている<映画より>
老人は、戸惑いながらも、小さな石仏をキネにして、
「南無阿弥陀仏」を唱えながら餅粉をつき始める。
△石仏で餅粉をつく老人<映画より>
そして、餅粉をつき終えた老人は、臼を島の井戸に
投げ込む。
その臼が深い海の底で大きな石仏となり、フェリーの
残骸を見つめるシーンで映画は終わる。
セリフが極端に少なく、意味ありげで難解なシーンの
多い映画ではあったが、セウォル号沈没事故の犠牲者を
慰霊する映画であることくらいは理解できた。
また、題名の「まぶた」については、セウォル号沈没
事故を見つめる目に「まぶた」を閉じてはならない、
という監督らの思いが込められている。
△海を見つめる老人<映画より>
そのことは、映画の冒頭部で、眠らないために
「まぶた」を切り落として座禅に励んだと伝えられて
いる達磨が紹介されたことから、解釈できた。
(終わり)
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老人とフェリー沈没事故
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