2016年夏のプサン訪問では、水晶洞の日本式家屋を見学した。
幸い、今年の6月から一般公開が始まっていたので、家屋の
内部にも入ることができた。
この豪邸は、言うまでもなく、戦前、日本統治下のプサンでは、
日本人成功者の居宅だった。
韓国解放後、おそらくは一旦、「敵産家屋」として当局に没収され、
その後、韓国の民間人に払い下げられたはずだ。
日韓国交正常化後の7、80年代には、日本人観光客の「キーセン
パーティ」の宴会場としても利用され、現代日韓関係の裏面史の
舞台ともなった。
この件については、少し気になっていたので、管理人の女性にも
確認したのだが、その女性も、この豪邸が、一時期、キーセンハウス
として使われていたことは事実だと語ってくれた。
ただ、近年では、複数の韓国映画のロケで活用されるなど、近代の文化遺産
としての評価を高めた。
そして、最近、有形文化財のとしての位置づけが確立し、国や自治体の
手で、しっかり管理、保存されることになった。
一般公開後、当面は地元の公益団体により、喫茶店やゲストハウス
として運営される計画だとのこと。
現在のところ、華奢な細工部分も含め、一部を除き、驚くほど
保存状態がいい。
韓国解放後も、その時代時代の持ち主によって、この家屋が大事に
あつかわれてきた証(あかし)だろう。
解放後の激動の歴史を思えば、奇跡と言ってよいのかもしれない。
数奇な運命をたどったこの家屋が、今後とも、地域住民や観光客らに
愛され大事にされ続けることを、祈らずにはおれなかった。
なお、この家屋の見学を終え、草梁洞に向け歩いて帰っていた
「ヲタク」は、偶然、別の日本式家屋を目にした。
一見、廃屋のように見えたその家が、今後、解体されるのか、改装されるのか、
「ヲタク」には予想できなかった。
(終わり)参加カテゴリ:地域情報(アジア)
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水晶洞の日本式家屋
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