北朝鮮絡みの(と考えられている)事件は、いやが上にも韓国社会を
緊張させ、危機意識を揺さぶる。
そして、結果的に、安全保障の強化を訴える保守政治の求心力を高め、
支持を拡大させる一方、北朝鮮との緊張緩和や協力に重きを置く
進歩派の勢いを削ぐ政治的効果があると考えられている。
韓国語では、その効果を「북풍(北風)」と呼んでいる。
そして、韓国の現代史を紐解けばわかることだが、不思議と、その
北風は、韓国の大統領選挙や国会議員選挙などを前にした政治的に
重要な局面で吹くことが多い。
韓国の進歩派を応援している「ヲタク」からすれば、北朝鮮と韓国の
保守派は、実は裏でつながっているのではないかと疑いたくなる
ほどだ。
例にもれず、今回も、この春にも予想されている大統領選挙を前に、
圧倒的に不利な状況にある韓国の保守派に、まるで「救いの手」を
差し伸べるような事件が起きた。
いわゆる「金正男暗殺事件」である。
ただし、今のところ、件(くだん)の「北風」は、思うような(?)
効果を生んではいないようだ。
政敵を「従北勢力」、つまり「北朝鮮の手先」と決めつけるような
リアリティの薄い攻撃方法が、かつてのような効力を失いつつ
あるようだ。
ここでは、新興メディアのニュースウェイから、関連報道の一部を
翻訳練習させてもらった。
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■김정남 피살에도 덤덤한 여론···수명 다한 ‘北風’
金正男暗殺事件にも反応のない世論...寿命の尽きた「北風」
(ニュースウェイ 2月22日)
고 김정일 북한 국방위원장의 장남 김정남이 의문의 피살을 당한 지
일주일이 지났지만 국내 여론은 좀처럼 동요를 보이지 않고 있다.
과거에는 한국의 선거 때만 되면 예측불허의 북한발 사건이 터지면서
국내 정치에 영향을 미치곤 했지만 이제 그 영향력은 점차 감소하는
추세다.
北朝鮮の故キム・ジョンイル国防委員長の長男であるキム・ジョンナム
氏が疑問の暗殺に倒れてから1週間が過ぎたが、韓国の世論は特に大きな
動揺を見せていない。過去には、韓国の選挙時になれば決まって予測も
できない北朝鮮発の大事件が勃発し、国内政治に大きな影響を与えた
ものだが、今やその影響力にも陰りが見えてきた。
-略-
범 보수 진영에서는 이를 고리로 야권 대권주자를 향한 공세를 폈지만 거의
효과를 보지 못했다. 정우택 자유한국당 원내대표는 “안보 상황이 위중한
이때 국민들이 왜 더불어민주당의 집권 가능성을 우려하는 것인지 문재인
전 대표를 필두로 심사숙고하라”고 촉구했고 정병국 바른정당 대표는
“문 전 대표가 사드 배치를 거부하고 북한으로 달려가 김정은을 만난다면
도대체 어떤 이야기를 나눌지 두렵다”고 공세를 폈다.
保守派陣営では、今回の事件をきっかけに野党陣営の大統領候補に攻撃の
矛先を向けたが、ほとんど効果がなかった。ジョン・ウテク自由韓国党
(与党、旧セヌリ党)の院内代表は、「安保をめぐる状況が緊張する今、
なぜ国民が、『共に民主党』の政権奪取の可能性を心配するのか、
ムン・ジェイン前代表を筆頭によくよく考えてみるべきだ」と述べ、
ジョン・ビョングク『正しい政党』代表は、「ムン前代表がサード
配置を拒否し、北朝鮮に駆けつけキム・ジョンウンと会うことになれば、
一体、どんな話をするのか怖い」と攻撃した。
하지만 이후 대선 판도에는 아무런 변화가 없었다. 문 전 대표는 여전히
확고한 1위를 지켰고 보수 진영 후보들의 지지율도 제자리걸음을 했다.
しかし、その後も次期大統領選をめぐる世論に何らの変化も起きていない。
ムン前代表は依然、支持率1位を独走しているし、保守派陣営の候補らの
支持率は伸び悩んでいる。
결국 ‘북풍’의 위력이 과거와 같지 않다는 분석이 나온다. 북한의
세습정치에 대한 국민적 반감이 강한 데다 보수 진영에서 ‘전가의 보도’로
꺼내 사용해왔던 색깔론이 오히려 역공의 빌미를 주는 경우가 많기 때문으로
풀이된다.
結局、「北風」の威力が過去に比べ弱まっている、と見ることができる。
保守・進歩を問わず北朝鮮の世襲政治に対する国民的反感が強い上に、
保守派陣営が『伝家の宝刀』として使ってきた政敵に対するアカ攻撃が、
逆に時代遅れとの非難となって返ってくるケースが増えているためだ。
-以下省略-
(終わり)