2017年夏のプサン訪問では、妻から頼まれたインスタントラーメン
2箱を草梁洞のスーパーで購入し、持ち帰った。
たかがラーメンとは言え、2箱ともなればけっこう重く、持ち運びは
やっかいだ。
そこで、ターミナル内で大いに世話になったのが、手荷物運搬用の
カートだ。
出国手続きの際は本人と荷物だけしか通過できないが、手続き後から
船までのカートについては、別途、わざわざターミナルの韓国人
係員が「ヲタク」の元に持ってきてくれた。
非常に広いプサンの国際ターミナルの中で、この親切は、本当に
ありがたかった。
△ターミナル内にはネットカフェもある
一方、久しぶりに不愉快な思いをさせられたのが出入国審査だった。
プサンの出国検査のボディチェックでは、長身で美形のSっぽい
女性検査官から、胸ポケットに入れたタバコのパッケージの中身まで
細かく検査された。
実は、このからまれ方(検査)は、そう不愉快ではなかった。
問題は、博多港での入国審査だった。
審査場に入るやいなや、何のことわりもなく、いきなりパシャッと
撮影された。
見ると、2人の女性審査官が入り口の脇から、大型の三脚に乗せた
特殊カメラで「ヲタク」を写したことがわかった。
撮られてやましいことなど何もなくとも、これでは、さすがに
気味が悪いし不愉快になる。
「ヲタク」は、物や動物ではなく人間なのだ。
抗議するつもりなどなかったが、せめて簡単な説明でも聞けたらと
思い、審査の順番が回って来た時、審査台に座った高齢の審査官に
話しかけてみた。
「今は、審査場に入るみんなの写真を撮ってるんですね。」
「いいや、外国人だけですよ。」
それはおかしい。現に日本人の「ヲタク」も、ついさっきそこで
撮られたし、第一、外国人と日本人が入り乱れて審査場に入って
くるのに、どうやって外国人だけを撮影できるというのか。
技術的にも不可能だ。
「え?さっき、(日本人の私も撮られましたよ)」という「ヲタク」の
言葉をさえぎるように、審査官は言った。
「日本人もアメリカに行けば、撮られますよ。日本人もアメリカじゃ
外国人ですからね。」
え?この人は何を言っているのか?
「昨年はなかった、いきなりの全身撮影の目的は何か?」と単刀直入に
質問しなかった「ヲタク」も悪かったが、あまりにも人を小ばかにする
ような、はぐらかしようだった。
まるで、安倍首相の国会答弁ではないか。
一国の首相が首相なら、出入国審査の最前線に立つ公務員のレベルも
こんなものなのかと思うと、妙に情けなくなった。
日本は本当にこれで大丈夫なのか?
それにしても、外国人観光客はもとより、再入国する日本人利用者まで
潜在的な犯罪者(テロリスト?)扱いするようなやり方は、いかがな
ものだろう。
観光立国を目指し海外に向け「おもてなし」を宣伝するのなら、
博多港から入国する外国人に対しても、もう少し、思いやりのある
対応ができないものか。
「ヲタク」には、もっとソフトで、しかも効果的なやり方が他にあると
思えてならない。
(終わり)