中国の百度(Baidu)地図のストリートビュー(全景)が、新しく
丹東市もカバーした(撮影2016年6月)ことを知ったので、さっそく
観察してみた。
△百度地図より
鴨緑江を挟み北朝鮮と向かい合う中朝国境の都市、丹東市。
中国における中朝交易の最大拠点都市で、人口240万の大都市だ。
■中朝国境の240万都市
△左手に「中朝友好の橋」が見える。対岸は北朝鮮。
鴨緑江の対岸は北朝鮮。
△鴨緑江大橋
有名な「中朝友好の橋」の他、鴨緑江大橋で北朝鮮と直接つながっている。
△鴨緑江大橋につながる自動車専用道路
ただし、2016年現在、鴨緑江大橋はまだ完全開通はしていない。
鴨緑江沿いには観光施設や、北朝鮮関連の店舗が目立つ。
北朝鮮の国旗もあちこちで目にできる。
△旅行の土産店もある
■丹東市の朝鮮族
2012年現在の丹東民族人口状況統計(孫引き)によれば、丹東市の
総人口243万人中、最大の民族集団は漢族で154万人、以下、満州族
82万人、モンゴル族3万人、回族1万7400人、朝鮮族1万6500人
などの順となっている。
ちなみに、瀋陽や大連を含む遼寧省全体での朝鮮族人口は約23万人
(朝鮮族ネット)。
△ハングル文字の店舗が立ち並ぶ朝鮮族タウン
特に丹東市に朝鮮族人口が多いわけではないようだが、丹東駅
近くの鴨緑江沿いの一角には、かなり大規模な朝鮮族タウンがある。
△「高麗街(고려거리)」の門
朝鮮族タウンの中心部を通る通りは、「高麗街」として朝鮮・韓国
関係の各種店舗が立ち並んでいる。
△丹東市朝鮮族幼稚園には朝鮮語クラスと中国語クラスがある
また、ストリートビューでは、朝鮮族の幼稚園や「中学」(中学・高校)も
確認できた。
△校門奥の建物は警察官詰所(中国では一般的な風景)
はたして、丹東市に住む朝鮮系中国人(朝鮮族)の人々は、目と鼻の
先にある北朝鮮をどういう思いで見つめているのだろう。
非常に気になるところである。
■韓国の存在感
今回のネット観察で驚いたのは、韓国の存在感の大きさである。
「韓国」を店名に使った店舗があちこちにある。
北朝鮮と隣接する国境の街の朝鮮族タウンでありながら、「ヲタク」の
印象では、「朝鮮」より「韓国」、あるいは「朝韓/韓朝」を店舗の
名称に掲げた店の方が目立った。
日本では使われない「朝韓/韓朝」なる漢字語は、朝鮮(北朝鮮)と
韓国を表す略語だ。
「朝韓」にしろ「韓朝」にしろ、中国に特有の朝鮮半島関連用語だと
言える。
軍事大国を志向する北朝鮮に対し、すでに飛躍的な経済発展を
遂げた韓国との、埋めようもなく広がった経済力の差が、中朝国境の
朝鮮族タウンの様子にもはっきり現われているのだ。
シャッターを降ろした古びた朝鮮万物商店と派手な看板を掲げた
韓国食品店が隣接する様子(上記画像)は、そうした事情を象徴的に
物語っているのかもしれない。
■丹東市の日本関連店舗
丹東市の朝鮮族タウンで日本関連の店舗を2つ見つけた。
「京都」を店舗名に使用したカフェと「北海道」を店舗名に
使用した活魚店。
ちょっと意外な気がしたので記録した。
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)
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丹東市の朝鮮族タウン
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