■박하사탕 「ペパーミント・キャンディー」 2000年 〇〇〇--
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2000年、「大鐘賞」で最優秀作品賞を受賞した映画。
家庭生活も事業も破綻し、住む場所さえ失い、初恋の女性との思い出の
場所で列車に衝突し自殺する中年男の人生を、韓国の現代史を背景に
描く。
△友人にも裏切られ全てを失った主人公が身を寄せるビニールハウス住宅
悲しくも暗い内容の映画である。
それにしても、「ヲタク」の極めて個人的な感覚で言えば、なぜ、
彼は初恋の女性を邪険に遠ざけなければならなかったのか、全く
持って理解に苦しむ。
△非常事態で面会が許されず、寂しく部隊を後にする初恋の女性
彼も心から愛していた彼女は、彼を軍の駐屯地にも、就職先の職場にも
1人で訪ねて来てくれたにもかかわらず…。
普通、好きな女性からそんなことをされて舞い上がらない男はいない。
自分も足を撃たれ、誤って女子高生を撃ち殺してしまった光州事件や
労働運動の活動家を残忍に拷問する刑事の仕事を通じて、汚れて
しまった自分自身に対する自己嫌悪からだったのだろうか?
しかし、それなら、なおさら、写真家になり名もなき美しい野の花を
撮ることが夢だった彼を理解し愛してくれた女性を愛(いと)おしみ、
彼女と共に生きる道を選んでもよかったのではないか。
とにかく、列車に衝突する最初のシーンから、九老工団の労組の
レクレーションで初恋の彼女と仲睦まじく語り合う最後の回想シーン
まで、主人公の男には全く感情移入ができなかった映画であった。
△労組のレクレーションで語りあう相思相愛の主人公と彼女
なお、題名の「박하사탕(ペパーミント・キャンディー)」とは、九老
工団のハッカ飴工場で働いていた初恋の彼女と主人公の思い出の飴で
ある。
(終わり)
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韓国映画と悲しい初恋
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