■악인은 살아 있다 「悪人は生きている」 2015年 〇〇〇--
(262)
韓国のノワール映画にも、しばしば悪女が登場する。しかし、この
映画に登場する女ほどの悪女はそうそういない。
女は、ある新興財閥企業の悪徳会長の愛人。会社では企画室長という
幹部ポストまで与えられ、会長の裏金の管理を一手にまかされている。
そんな女が、愛人生活に飽き足らず、自分と会長の関係を隠したまま
同世代の楽器店店長の男の心を奪い、結婚。一見、平凡な家庭を
手にする。
そして、会長との間にできた子を夫の子どもと信じ込ませ、何食わぬ
顔で二重生活を続けていた。
しかし、そんな二重生活も、ついには破綻する。
妻の隠された素顔を知ってしまった男が、衝撃のあまり正気を失い、
2人に対する壮絶な復讐に打って出たのだ。
音楽と家族を愛した男が、一転、残忍な悪人と化し、妻に制裁を加え、
妻の仇(かたき)を討つと見せかけて会長を殺す。
刑事は、知り過ぎた女が会長に口封じされたと思い込み、会長に復讐
した男に同情し、事件を闇に葬る。
■H 「H(エイチ)」 2002年 〇〇---
(261)
獄中の連続殺人鬼が、催眠術で外部の人間を操(あやつ)り、妊婦
ばかりをねらった猟奇的な殺人を継続する。
殺人鬼は、母親の人工中絶手術の失敗でこの世に生を受けた暗い
過去を持ち、精神に負った深い傷からサイコパス(異常人格者)へと
成長した人物だった。
殺人鬼の捜査で婚約者を失った1人の女性刑事が、事件の真相を
明らかにしていく。
題名の「H」とは、「Hypnosis(催眠術)」の頭文字。映画の最後で
紹介される。
それにしても、胎児の死骸まで描写する猟奇的なシーンには、思わず
目をそむけたくなった。
少なくとも、妊婦は見ない方がいい映画だ。
■해바라기 「ひまわり」 2006年 〇〇〇--
(260)
2006年、130万を超える観客を動員した作品。
10年の刑を終え、暴力と縁を切りまじめに生きようとする青年と
その青年を息子として受け入れた女性が、商店街の再開発をめぐる
どす黒い渦(うず)に巻き込まれて行く。
「ひまわり」という名の食堂を営んでいた女性が、立ち退きを
受け入れたにもかかわらず、命を奪われてしまう。
再開発の推進者であり、彼女の命を奪った黒幕の男に対し、青年は
封印していた暴力の牙を向ける。
そして、自らの命を投げ出し、壮絶な復讐を成し遂げる。