■파주 「坡州 パジュ 」 2009年 〇〇〇〇-
(627)
2009年に公開された社会派の恋愛ドラマ。
物語の舞台は北朝鮮に接するパジュ(坡州)。
38度線(軍事境界線)に接し軍事的緊張の高い地域ではあるが、近年、
ソウルに近い南部地域を中心に急速な都市化が進んでいる。
△コネスト韓国地図
主人公は事故で妻を失った男と妻の妹。
男は、ソウルで学生運動に挫折し、実家のあるパジュに戻り、妻と
出会い結婚した。妻を失った現在は、塾の教師をしながら、再開発に
伴う住宅の強制撤去に反対する住民運動に取り組んでいる。
義理の妹は、3年前、たった1人の身内を失った直後、決まっていた
大学進学をやめ、入学金を持ってインドに放浪の旅に出て、最近、
パジュに戻って来たばかり。
2人は、今や仲のいい義理の兄弟としてではなく、男と女として
お互いに強く引かれ合っている関係ではあるが、なかなか前に進め
ないままでいる。
特に妹は、曖昧なままにしてきた姉の死因が、心に重く引っかかって
いる。
△妻(姉)の墓を訪れた2人(映画より)
実は、男の妻は、妹の何気ない過失が引き起こしたガス漏れによる
爆発事故で命を失ったのだが、男は、その真相を誰にも言わず、
隠し続けているのだった。
男は、ガス爆発直後の屋内でその痕跡を見つけた後、証拠を消し去り、
さらに妹には、姉の死因をひき逃げ事故だと偽り続けてきた。
ところが、妻が生命保険に入っていた関係で、保険会社と警察は
男の不審な言動に疑念を持つ。
保険金の受け取り人が、妻の死後、男から妹に変更されたこともあり、
一旦は男に関する捜査を打ち切った警察であったが、結局は、男を
保険金詐欺と殺人の容疑で逮捕してしまう。
さて、男の容疑は晴れるのか?妹は姉の死因の真相を知ることに
なるのか?何より、2人は晴れて結ばれるのであろうか?
映画は、2人のお互いに対する強い思いを描きはしたが、2人の
未来については、何一つ暗示さえしないまま終わってしまう。
見る者には2人の気持ちさえ伝われば、それで十分、ということ
なのか。
幸せな結末を見たかった「ヲタク」にとっては、意地悪にも思える
映画であった。
(終わり)
← ポチッと応援 →
↧
映画と38度線沿いの恋
↧