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韓映画と脱北少年の死

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■크로싱  「クロッシング」 2008年  〇〇〇--
(628)



2008年に公開された異色の社会派映画。

北朝鮮北部の炭鉱町で、貧しいながらも仲睦ましく暮らす一組の
家族が主人公。炭鉱で働く元有名サッカー選手の父親と母親と
少年の3人家族だ。

その家族が突然、不幸に見舞われる。

母親が結核にかかってしまうのだ。しかも、地域にはしっかりした
医療施設も薬もない。

父親は、薬を手に入れるため、命がけで鴨緑江を渡り中国に
密入国する。しかし、悪質な脱北ブローカーから「インタビューを
受けるだけでお金がもらえる」などと騙され、結局、本人の意志に
反する形で脱北させられ、韓国まで連れていかれる。

一方、父親の密出国後、ほどなくして母親を失い途方に暮れた少年は、
父親を探しに中国への密入国を企てるが失敗し、強制労働施設に
収容されてしまう。

しかし、幸運なことに、父親を支援する韓国のキリスト教系脱北者
支援団体が、独自のネットワークを通じ北朝鮮の末端当局者らへ
ワイロを渡し、何とか少年を施設から連れ出すことに成功する。


△川(鴨緑江)の向こうは中国(映画より)

そして、少年は、鴨緑江を渡り、中国からモンゴル経由で韓国入国を
めざすことになった。

一刻も早く息子に会いたい父親は、モンゴルまで出向き、息子を待つ
ことにした。


△鉄条網をくぐりモンゴルに入った少年(映画より)

しかし、父親が目にした息子は、変わり果てた姿で、すでに冷たく
なっていた。

息子は、モンゴルへの密入国には成功したものの、その後の連携が
うまくいかず、ゴビ砂漠で1人、命を失ってしまったのだった。

実際、脱北者の中には本人が望まないまま脱北させられた人も
いるだろうし、また、脱北がかなわず命を落とす人もいるに
違いない。

それにしても、あまりにも切なすぎる映画の結末であった。



(終わり)



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