■파란만장 「波乱万丈」 2011年 〇〇〇〇〇
(970)
2011年に公開されたインディーズ系の短編映画。
iPhone4で撮影されたため、暗くて鈍い画面が、
幻想的な雰囲気を醸し出している。
△台風が来る日、釣りに出かけた男(映画より)
携帯ラジオから台風の襲来を伝えるニュースが
流れる中、1人の男が魚釣りに出かける。
△あの世の使者に捕まってしまう(映画より)
魚釣りに出かけたその湖畔で、男は、白装束の女の
姿をした、あの世の使者を釣り上げ、逆に捕まって
しまう。
男は家に帰ろうとするが、女は男を離してくれない。
(男の水難死を意味する、このシーンのみ白黒)
△男の遺影(映画より)
その後、場面が変わり、チャルメラ笛やドラ、
太鼓が奏(かな)でる、けたたましい音楽を背景に、
伝統的な「クッ(굿)」の儀式が始まる。
△水の桶から出てくるムダンには男の魂が乗り移った(映画より)
水桶に浸かった1人のムダン(霊能者)に男の魂が
乗り移る。
△男の無念な魂が1人娘に抱き着く(映画より)
ムダンに乗り移った男は、この世に残された
娘や母親(娘の祖母)に、自分の苦しい無念の
思いを吐露する。
そして、娘に抱き着いたまま離れようとしない
ムダン。
△娘と暮らしたいと、娘を抱いて離さないムダン(映画より)
母親は泣きながら、お前の娘は自分がしっかり
面倒を見るから、無念を解いていいところへ行け、
とムダンと娘を引き離す。
△白装束に包まれあの世に行く準備をするムダン(映画より)
やがて、ムダンは、この世への未練を絶ち、
あの世に行くことを受け入れる。
そして、伝統的なリズムに合わせ、男の心情を
歌いながら、長い布を切り裂き、あの世へと
旅立っていく。
△男の魂が布を切り裂きながらあの世に向かう(映画より)
ムダンは、布を全て切り裂き終える前に、
最後の思いを母親や娘に伝える。
母親には、かわいそうな娘のため、娘の母
(妻)を家に呼び戻して仲良く暮らしてほしいと。
悪かったのは全て自分なので、妻とけんか
するのは、もうやめてくれと。
娘には、父がお前の病気をあの世に持っていく
から、父がいなくなっても、早く良くなって
楽しく暮らせと。
△泣きながら娘に語りかけるムダン(映画より)
「ヲタク」はこの映画を見て、韓国の伝統的な
霊的儀式である「クッ(굿)」の何たるかが
初めて、少しだけ理解できた気がした。
この世に残された者たちが、死者の無念の魂を
きちんとあの世に送り出し、重たすぎる悲しみを
皆で浄化する芝居がかった儀式。
それは、土地と歴史に根差した総合芸術の一幕
とも呼べる、カタルシスをともなう大々的な
弔(とむら)いの儀式だった。
短いながらも、臨場感のある、実に見ごたえの
ある韓国的な映画だった。
現代の韓国社会にも引き継がれているムダン
(霊能者)文化に関心のある人には、必見の
映画だろう。
(終わり)
↧
iPhone4とムダン
↧