現地時間の8月6日、ロンドンオリンピック体操種目別決勝の
男子跳馬で、韓国のヤン・ハクソン選手(韓国体育大2年)が、
韓国体操史上初となる金メダルを獲得した。
弱冠19歳の青年が、一躍、「도마의 신(跳馬の神)」と
なった瞬間だった。
8月7日現在、ロンドンオリンピックで韓国人選手が
獲得した金メダルは11個にも達し、連日、韓国メディアは
金メダル獲得の報に沸いているが、とりわけヤン選手の
歴史的快挙は大きな扱いを受けている。
△ネイバーのフロントページより(8月7日現在)
韓国を代表するインターネットポータルサイトの
ネイバーは、特別なロゴまで作りヤン選手の快挙を称えた。
△上記ロゴ部分
「ヲタク」自身、日本のテレビ中継でヤン選手の演技を
目にし、大きな感動を得た。
そして、ヤン選手の生い立ちや体の悪い両親の生活も
含め、詳細に伝えられる韓国メディアの関連報道を通じ、
韓国社会についての認識を新たにすることができた。
ここでは、「ヲタク」が新しく知り得たことを中心に
ポイントを2つにしぼって簡単にまとめてみた。
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?ビニールハウスを改造した住居
世界もかつ目する経済発展を遂げた現代韓国ではあるが、
その一方で、依然として、日本では考えられないような
貧しい暮らしをしている人々が大勢いることは、「ヲタク」も
知っている。
しかし、そんな「ヲタク」も、現代の韓国でなお、
ビニールハウスを改造した住居に暮らす人がいる
とは知らなかった。
△ヤン選手の両親が暮らすビニールハウス(京郷新聞)
全羅北道の農村で、ヤン選手の両親が暮らしている
家が、まさにそうした住居だ。
△両親が暮らすビニールハウスの内部(京郷新聞)
多くのメディアが、そのビニールハウス住居の様子を
伝えていた。
韓国オタクを自称している「ヲタク」ではあるが、ヤン
選手の両親の暮らしぶりには、率直に言って、
大きな衝撃を受けた。
?泰陵選手村
ヤン選手をはじめ多くの韓国人メダリストを生み出して
いる準国立の体育施設が「태릉선수촌(泰陵選手村)」だ。
ソウル市郊外に位置するこの泰陵選手村の英語名は、
「Korea National Training Center」。
1966年、「スポーツによる国威発揚と国民統合」を
目的に大韓体育会により設立された、文字通り、
韓国の国家スポーツのメッカである。
現在、このトレーニングセンターでは、20種目を超える
競技で韓国全土から選抜された才能ある若者たち
(国家代表、および代表候補)が、衣食住と世界レベルの
練習環境が保障された中、一月80万ウォン(約6万円)
ほどの練習手当を受け取りながら、日夜、訓練に
励んでいる。
もし、努力が実を結び、オリンピックで金メダルを
獲得すれば、多額の報奨金や年金など経済的な富が
保証される。場合によっては、民間企業も、自社の
宣伝を兼ね、住宅など様々な報奨をプレゼントする。
トレーニングセンターで訓練に励む少なからざる若者に
とって、競技での成功は、すなわち、貧困からの劇的な
脱出を意味する。
韓国メディアの報道によれば、ヤン選手は、練習手当の
ほぼ全額を両親に仕送りしながら、いつの日にか、両親に
「安全で暖かい」家を建ててあげることを夢見ながら、
厳しい練習の日々を送って来たとのこと。
ヤン選手は、ロンドンオリンピックで、ついにその夢を
実現させたのだ。
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貧困からの脱出口をスポーツに求める、才能とガッツの
ある若者。
そして、スポーツで国威を発揚し、国民の一体感を
高めようとする国家。
さらには、スポーツでの同胞の活躍を通じ、国民と
しての誇りを感じたい多くの市民。
今回のヤン選手の歴史的快挙は、「ヲタク」に、スポーツ
強国・韓国の理由の一つを、わかりやすく教えてくれた
ような気がする。
△「何が言いたいのか、さっぱり分からない」
△「どっちにしろ、私の方が
イシンバエワより美しい」
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)
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跳馬の神と韓国
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